乳癌(がん)は、40歳代に最も多く、次いで50歳代、30歳代の順に起こりやすく、近年増加の傾向がありますが、20歳以下ではきわめて稀です。男性にもごくわずかですが、発生します。
症状は、押しても痛くない腫瘤(しこり)をふれることです。腫瘤(しこり)は乳房の外側の上部にできることが最も多く、手のひらでもふれ、表面がデコボコで境界はやや不明瞭です。腫瘤(しこり)の部分は、初期のうちは移動性がありますが、後には動かなくなります。
皮膚は、癌(がん)が進行してくると、腫瘤(しこり)のために膨らんだり、陥没したり、乳首が上下左右に向きが曲がるというように乳房の形が変わってきます。さらに悪化すると赤く腫れたり、皮膚がくずれて潰瘍ができたりします。
また、乳頭やその周囲に治りにくい頑固な湿疹としてあらわれるページェット病とよばれる特殊な乳癌(がん)もあります。
乳頭から血のまじった分泌物が出てくることがあります。これは乳癌(がん)のときよりも乳腺乳頭腫のときに多くみられます。
痛みは初期には全くありませんが、末期になってワキの下の神経が侵されると、強い痛みがあらわれます。
また、ワキの下のリンパ節に転移し、かたいリンパ節が1個から数個ふれるようになり、進行すると頚部のリンパ節や最後には骨、肝臓、卵巣、脳など離れた臓器にまで転移するようになります。
癌(がん)の原因はまだわかっていませんが、乳癌(がん)の場合、女性ホルモンとの関係が密接で、高年初産婦、未婚の人、結婚しても妊娠しない人、十分な授乳をしなかった人など、不自然な性生活環境の人に多いといわれていますが、はっきりしたことはいえません。
乳癌(がん)の疑いがあるときは、ただちに大きな総合病院、大学病院などの外科で受診することです。
乳癌(がん)はリンパ節転移がわりあい早い時期から起こり、しかもかなり早い遠くまで達します。転移の数が多くなるほど治療成績も悪く、乳癌(がん)全体としては根治手術後の5年生存率は50〜60%です。早期発見、早期治療がなによりも大切です。
最も確実な治療方法は手術です。普通行われている乳癌(がん)の根治手術は、癌(がん)組織、皮下脂肪組織、胸の筋肉、ワキの下のリンパ節までをとってしまうものです。手術後はできるだけ腕を動かすほうがよいのですが、ムクミがくることもあるので、ひどい場合は力仕事は避け、3〜6ヶ月に一度検診を受けることが必要です。
リンパ節転移が多い場合や肺などほかの臓器に転移がある場合には、手術だけでなく他の治療法が併用されます。
放射線療法は、手術後なるべく早くから行います。X線のほか、コバルト、セシウム、超高電圧のベータトロン、リニアックなども使われるようになりました。
ホルモン療法は、内分泌環境を変えて乳癌(がん)やその転移巣の発育を抑えようというものです。手術で卵巣、副腎、下垂体を摘出したり、X線などで機能を停止させる方法と、ホルモン剤投与による方法があります。