軽いものは一日1回程度のものから、重たいものになると、一日何回もトイレへ通わなければならないものまであります。俗に渋り腹といわれる裏急後重状態では、はげしい腹痛とともに便意を催し、トイレに行っても排便できず、トイレから出るとまた便意を催します。
さまざまな原因によって起こることがあり、素人判断で安易に下痢止めを用いることは好ましくありません。
下痢は腸の働きが異常に亢進して、腸管の通過が早くなったり、腸粘膜に病気が発生して吸収する機能が低下し、腸管からの水分の吸収が不十分な場合などに起こります。また、腸粘膜に炎症を起すと、粘膜から多量の分泌液が出て下痢を起すこともあります。
下痢には、急性のものと慢性のものがあり、急性のものは、コレラ、腸チフス、パラチフス、細菌性の食中毒など感染性の腸の病気、あるいは、アレルギー性腸炎、神経性下痢、消化不良性下痢などのような非感染性の腸の病気によって起こります。インフルエンザ、ウイルス肝炎のように主として感染性の他の臓器の病気によって起こる場合もあります。そのほか、キノコやフグによる中毒、ヒ素、水銀などの薬剤によっても下痢症状はあらわれます。
慢性下痢を起すものは、感染性の腸の病気、あるいは回虫や条虫のような寄生虫、限局性回腸炎、癌(がん)、肉腫、大腸ポリポージスのような器質的疾患があります。慢性下痢はなにも腸の病気が原因とは限らず、胃や膵臓、肝臓、胆道、または全身性の病気によっても起こります。代表的なものは低酸症、胃癌(がん)、慢性膵炎、糖尿病、肝硬変、甲状腺機能亢進症などです。
まず心身の安静をはかります。そして食事療法をし、徐々に体力の回復を待ちます。急性の時期には安静臥床をさせ、食事は、初めの1〜2日間は絶食にします。ただし水分を補給しないと脱水症状を起してしまうので、あたたかい番茶や砂糖湯などを与えて水分を補給します。
下痢のときの食事は、消化のよいものを少なめにということが大切で、症状によって、重湯やくず湯などの流動食、おかゆなどの軟食とし、徐々に普通食に移行します。軟食の場合の副食をしては、かたいものや繊維の多いもの、油脂や、脂肪の多い魚や肉は避け、調理の方法も、こまかく切るとか、よく煮るなどの工夫が必要です。
原因がわからないで、下痢が続くような場合には、専門医のくわしい検査を受け、原因となっている疾患がないか確かめてもらいましょう。精神的ストレスが原因のこともあり、そういう場合には心身症としての治療が必要なこともあります。